敵地、クリーブランドで迎えたインディアンス戦
２番ライトで先発出場、２年ぶりのエラーを記録したのでした
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「イチメーター飽きたな」の声
無言で帰り始める選手達の中、内野安打でセコセコ稼いだイチローは独りベンチで泣いていました
WBCで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の内川で得ることは殆ど不可能と言ってよかったのです
「どうすりゃいいんだ・・・」イチローは嬉し涙を流し続けたのです
どれくらい経ったのでしょうか、イチローははっと目覚めました
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようです、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻しました
「やれやれ、また内野安打を積み上げなくちゃな」イチローは苦笑しながら呟きました
立ち上がって伸びをした時、イチローはふと気付いたのです

「あれ・・・？日本人がいる・・・？」
ベンチから飛び出したイチローが目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの日本人でした
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにブルーウェーブの応援歌が響いていました
どういうことか分からずに呆然とするイチローの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきたのです
「鈴木、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返ったイチローは目を疑いました
「た・・・高橋智さん？」 　「なんだもやし、また内野安打でも打とうとしてたのか？」
「ふ・・・福良監督？」 　「なんだ鈴木、かってに福良を引退させやがって、振り子打法なんてやってるからそうなるんだよ」
「土井さん・・・」 　イチローは半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
１番：鈴木　２番：福良　３番：藤井　４番：石嶺　５番：タイゲイニー　６番：トーべ　７番：本西　８番：中嶋　９番：勝呂
暫時、唖然としていたイチローでしたが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲しかありませんでした
「今までセコセコ積み上げたもの・・・なくなったんだ・・・」
小川からグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走する鈴木、その目に光る涙はチヤホヤされたイチローとは無縁のものでした・・・

翌日、内野安打でセコセコ稼いだ記録はすべてなくなり、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取りました

お林

草

それを今の内川で得るってなんだよ（哲学）

お林

これはお林

イチロー勝ち越し打おめ

面白い

お林

ですます調がお林感を彷彿とさせる

お林

イチローチ先生やろか